認知症対策の場面

自らが認知症になった場合でも、資産運用ができるようにしたい

 Aさん(78才)は、預貯金や不動産などの資産を有しています。Aさんは、不動産の売買などをして、積極的に資産を運用していきたいと考えています。また、所有する土地に賃貸アパートを建設して相続税対策をしたいとも考えています。

 Aさんが元気なうちは問題ありませんが、計画の途中で認知症や脳梗塞になり判断能力が低下した場合に不安があります。認知症になった場合、成年後見制度を利用することにより、息子さんのBさん(48才)が成年後見人に就任し、Aさんの資産を管理するという方法が考えらえます。

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 しかし、成年後見制度は本人の財産を守るための制度ですから、預貯金があったとしても、その預貯金を利用して収益不動産を購入するというようなことは投機的な側面があるので家庭裁判所が認めるとは考えにくいです。そして、相続税対策は、基本的には相続人となる人達のためになされるもので、本人の利益になる訳ではありませんから、家庭裁判所が認めるとは考えにくいです。

 このようなことから、Aさんが認知症になった場合、Aさんの希望は叶えられないことになりそうです。

 しかし、Aさんが元気なうちに息子のBさんとの間で、不動産と預貯金について家族信託による契約を結んでおけば、たとえAさんが認知症になったとてしても、当初Aさんが希望していた資産運用や相続税対策はBさんがAさんに代わって行うことができるようになります。

 この場合、Aさんが委託者兼受益者、Bさんが受託者ということになります。信託の仕組みの設計方法としては、信託だけによることも可能ですし、成年後見と信託の併用という方法も考えられます。

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空き家になっている自宅を、認知症になった場合でも、確実に売却できるようにしたい

  Aさん(75才)は、妻に先立たれ自宅に一人で暮らしていました。子供は、息子のBさん(45才)と娘のCさん(42才)がいます。

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 その後、Aさんは老人ホームに入居し、空き家となった自宅を売却しようと考えています。ですが、Aさんは、認知症になった場合に不安を感じています。

 自宅の買い手が見付かったとしても、その時点でAさんが認知症になり判断能力が衰えていれば、要後見の状態ですから、成年後見人がいなければ自宅の売買契約は締結できません。

 もっとも、Aさんの自宅は空き家になったとはいえAさんの居住用不動産ですから、息子のBさんがAさんの成年後見人となったとしても、売却するのには家庭裁判所の許可が必要になります。

 ですが、預金が十分にあるような場合、自宅を売る合理的な理由がないとして家庭裁判所の許可が降りない可能性があります。そうすると、Bさんは空き家となった自宅を管理し続けることになり、Aさんの希望は叶えられなくなります。

 しかし、Aさんが元気なうちに息子のBさんとの間で家族信託による契約を結んで、自宅の管理処分できる権限をBさんに与えておくと、Aさんが認知症になったとしても、Bさんにより自宅の売却が可能になります。

 この場合、Aさんが委託者兼受益者、Bさんが受託者となります。このような場合の信託の仕組みの設計方法としては、家族信託のみ、家族信託と成年後見、家族信託、成年後見に加えて遺言など、Aさんの希望や資産状況等により様々なパターンが考えられます。

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 このように、ご本人が認知症になった場合、家族信託以外の既存の制度では解決が困難なことがあります。家族信託には、もしものときの保険のような働きがあります。

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