◆解体工事業新設
平成28年6月1日より、これまでは「とび・土工工事業」に含まれていた「工作物の解体」が独立して、建設業許可に係る区分に「解体工事業」として追加されました。これに伴い、解体工事業を営む者は、平成28年6月1日より解体工事業の許可が必要となっています。
もっとも、500万円未満の解体工事のみを請け負う場合は、解体工事業の許可は不要です。ただし、土木工事業、建築工事業、解体工事業のいずれの業種の許可を取得していない場合は、解体工事業の登録が必要です。
また、解体工事業を営む場合であっても以下のような経過措置があります。
●平成28年6月1日時点で,とび・土工工事業の許可を受けて解体工事業を営んでいる建設業者は,引き続き3年間(平成31年5月まで)は,とび・土工工事業の許可を有している限り,解体工事業の許可を受けずに解体工事を施工することが可能です(平成31年6月以降は,解体工事業の許可が必要)。
●施行日前のとび・土工工事業に係る経営業務の管理責任者として経験は,解体工事業に係る経営業務の管理責任者としての経験とみなされます。
解体工事の区分の考え方
建設業の種類 | 建設工事の内容 | 建設工事の例示 | 建設工事の区分の考え方 |
解体工事業 | 工作物の解体を行う工事 | 工作物解体工事 | それぞれの専門工事において建設される目的物について,それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。総合的な企画,指導,調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は,それぞれ「土木一式工事」や「建築一式工事」に該当する。 |
解体工事許可と解体工事業登録の振り分け
平成31年5月まで |
平成31年6月以降 |
(注)この場合、解体工事業の許可を取得すれば、500万円未満の解体工事は当然に行えます。
技術者要件
解体工事の実務経験,資格を有する技術者の配置が必要となります。
(1) 監理技術者の要件(次のいずれかの資格等を有する者) |
•1級土木施工管理技士 ※1
•1級建築施工管理技士 ※1
•技術士(建設部門又は総合技術監理部門(建設))※2
•主任技術者としての要件を満たす者のうち,元請として4,500万円以上の解体工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験を有する者
(2) 主任技術者の要件(次のいずれかの資格等を有する者) |
•監理技術者の資格のいずれか
•2級土木施工管理技士(土木)※1
•2級建築施工管理技士(建築又は躯体)※1
•とび技能士(1級)
•とび技能士(2級)合格後,解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
•登録技術試験(種目:解体工事)
•大卒(指定学科 ※3)3年以上,高卒(指定学科 ※3)5年以上,その他10年以上の実務経験
•土木工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち,解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
•建築工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち,解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
•とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち,解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
※1 平成27年度までの合格者に対しては,解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要
※2 当面の間,解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要
※3 解体工事業の指定学科は,土木工学又は建築学に関する学科
経過措置 |
平成28年6月1日時点でとび・土工工事業の技術者に該当する者は,平成33年3月31日までの間は,解体工事業の技術者とみなされます。
この経過措置により取得した解体工事業の許可における営業所の専任技術者の有効期間は,平成33年3月31日までです※。このため,平成33年4月1日以降も解体工事業を営もうとされる場合は,平成33年3月31日までに,専任技術者が正式な解体工事業の要件を満たすよう登録資格の変更手続を行なわなければなりません。
解体工事の専任技術者となることができる資格コード表について
1 経過措置がある資格 |
平成 28 年6月1日時点でとび・土工工事業の技術者である者については,経過措置期間中(平成 33 年3月 31 日まで)は,「旧とび・土工工事業」の技術者を「解体工事業」の技術者とみなせますが, 平成 33 年4月1日以降は,解体工事の専任技術者になれる資格となれない資格があります。
(1) 平成 33 年4月1日以降に解体工事業の専任技術者になれない資格等 次の資格等については,経過措置後は解体工事業の専任技術者となれません |
根拠法令 | 資格等 | コード | |
平成28年3月31日までに合格した右の資格等根拠法令 | 建設業法 | 1級建設機械施工技士 | 1A |
2級建設機械施工技士(第1種~第6種) | 1B | ||
2級土木施工管理技士(薬液注入) | 1E | ||
技術士法 | 農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」) | 4C | |
水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」) | 4D | ||
森林「森林土木」・総合技術監理(森林「森林土木」) | 5A | ||
職能法 | 型枠施工(2級は実務3年) | 6B | |
コンクリート圧送施工(2級は実務3年) | 7A | ||
ウェルポイント施工(2級は実務3年) | 6C | ||
登録技術試験 | 地すべり防止工事(実務1年) | 6A |
(2) 平成 33 年4月1日以降も解体工事業の専任技術者になれる資格等 |
次の資格等については,合格後の解体の実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講により, 登録資格の変更手続をすることで,平成 33 年4月1日以降も解体工事業の専任技術者となれます。 なお,技術士法(コード:41,42)を除き,平成 28 年 4 月 1 日以降に合格した者は,解体の実務 経験1年以上又は登録解体工事講習の受講は必要ありません。
根拠法令 | 資格等 | コード(許可時) | コード(変更後) | |
平成28年3月31日までに合格した右の資格等根拠法令 | 建設業法 | 1級土木施工管理技士 | 1C | 13 |
2級土木施工管理技士(土木) | 1D | 14 | ||
1級建築施工管理技士 | 2A | 20 | ||
2級建築施工管理技士(躯体) | 2B | 22 | ||
技術士法 | 建設・総合技術監理(建設) | 4A | 41 | |
建設「鋼構造コンクリート」・ 総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート) |
4B | 42 | ||
職能法 | とび・とび工(2級は実務3年) | 5B | 57※ |
例:2A(1級建築先行管理技士)で登録した方が1年以上の実務経験か講習を受講した場合、20へのコード変更届を提出します。
※コード57の変更に当たり、解体の実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講は必要ありません。
2 経過措置がない資格 |
「2級建築施工管理技士(建築)(コード:21)」については,既存の資格者は,実務経験1年以 上か講習受講又は平成 28 年4月1日以降に合格した者でないと解体工事業の技術者になれません。
「(登録技術試験)解体工事(コード:60)」については,平成 28 年 3 月 31 日までに合格した者及 び平成 28 年 4 月 1 日以降に合格した者いずれについても,解体の実務経験1年以上又は登録解体 工事講習の受講は必要ありません。
登録解体講習の実施機関