業務委託契約書
1.業務委託契約書とは
業務委託契約は、企業が行う業務を外部の第三者に委託する場合に締結する契約です。
業務委託契約は、民法上は、請負契約もしくは委任(準委任)契約、またはこれらの複合契約となります。

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって、その効力を生じます(民法632条)。
これに対して、委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、効力を生じます(民法643条)。法律行為でない事務の委託について委任の規定が準用されており、これを準委任といいます(民法658条)。

請負契約は、建物の建築というように「仕事の完成」を目的とするのに対して、委任(準委任)は、一定の事務処理を目的とするものであって、「仕事の完成」を目的としない点で異なっています。たとえば、医師の治療行為は、完全に治すことを目的とはしないので、準委任契約となります。

請負か委任(準委任)かは、「仕事の完成」を目的とするか、明らかでないことも多く、峻別が困難な場合もあります。
もっとも、請負と委任は、仕事・事務処理にあたり、請負人・受任者が、注文者・委任者の指揮命令に服さないという点では共通しているので、雇用契約(民法623条)とは異なります。
2.「偽装請負」と業務委託
業務委託には、仕事の完成を目的とする請負型の業務委託と、事務処理を目的とする準委任型の業務委託が存在します。
ただ、どちらも、作業の実態をみれば、受託者自身もしくは受託者が雇用する従業者の労働力を利用するものですから、労働者派遣に似ています。

労働者派遣とは「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」(労働者派遣時事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、「労働者派遣法」といいます)2条1号)と定義されています。
以前は、一部特定の分野でのみでしか認められていませんでしたが、現在においては製造業についても労働者派遣が認められています。
ただ、労働者派遣の場合には、派遣期間の制限があったり(労働者派遣法40条の2)、派遣契約の書面化が義務付けられたりします(労働者派遣法26条1項)。そして、派遣先は、労働者派遣法44条の特例の範囲で、労働基準法の適用を受けることになります。

そこで、このような不都合を避けるために、請負の形で契約が締結される現象が多く生じるようになりました。これが、「偽装請負」の問題です。

受託業務が委託者の事業所内で行われるような場合には、委託者が受託者の従業者に対して直接指揮命令することがあるといえます。「偽装請負」に該当する場合、労働者派遣法違反となります。

そこで、業務委託契約において、受託者の従業者が委託者の事業所内で作業を行うような形態になる場合は、「偽装請負」とならないように配慮する必要があります。

労働者派遣と請負との区分については、厚生労働省より、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」という告示が出されており、この告示に基づいて労働局の指導も実施されています。

そこで、業務委託契約書の作成にあたっては、この基準に基づいて契約書を作成する必要があります。もっとも、一番大切なのは契約書としての体裁を整えるだけではく、実際の運用も基準に基づくことです。

労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準

(昭和 61 年労働省告示第 37 号)
(最終改正 平成 24 年厚生労働省告示第 518 号)

第1条 この基準は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十 年法律第八十八号。以下「法」という。)の施行に伴い、法の適正な運用を確保するためには労働者派遣事業(法第2条第3号に規定する労者派遣事業をいう。以下同じ。)に該当するか否かの判断を的確 に行う必要があることに鑑み、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分を明らかにすること を目的とする。

第2条  請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であっても、当該事業主が当該業務の処理に関し次の各号のいずれにも該当する場合を除き、労働者派遣事業を行う事業主とする。
1  次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用 するものであること。
イ  次のいずれにも該当することにより業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。
(1) 労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
(2) 労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。
ロ  次のいずれにも該当することにより労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うものであ ること。
(1) 労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これ らの単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
(2) 労働者の労働時間を延長する場合又は労働者を休日に労働させる場合における指示その 他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
ハ  次のいずれにも該当することにより企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うものであること。 (1) 労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと。
(2) 労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと。
2  次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより請負契約により請け負った業務を自己の業務と して当該契約の相手方から独立して処理するものであること。
イ  業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。
ロ  業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。
ハ  次のいずれかに該当するものであつて、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
(1) 自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具 を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること。
(2) 自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること。

第3条 前条各号のいずれにも該当する事業主であっても、それが法の規定に違反することを免れるため 故意に偽装されたものであつて、その事業の真の目的が法第2条第1号に規定する労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができない。
3.下請法と業務委託
(1)下請法の適用対象

業務委託契約において受託者は、委託者に比べると零細な規模の業者が多いのが実情です。このような実情に鑑み、下請代金支払遅延防止法(以下、「下請法」といいます)が、下請取引における親事業者の優越的地位の濫用行為を規制するために制定されています。

下請法の対象となる事業は、民法上の請負契約に限らず、役務提供を目的とするものも含まれています。下請法の対象となる取引は、「製造委託」・「修理委託」・「情報成果物作成委託」・「役務対象契約」の4種類です(下請法2条1項)。

下請法の対象となるかは、取引類型、親事業者の資本金、下請事業者の資本金によって決まります。

適用対象①

取引類型

〇物品の製造委託・修理委託
〇プログラム作成にかかる情報成果物作成委託
〇運送、物品の倉庫における保管および情報処理に係る役務提供委託

適用対象① 図

適用対象①

取引類型

〇情報成果物作成委託(プログラム作成を除く)
〇役務提供契約(運送、物品の倉庫における保管および情報処理を除く)

適用対象① 図
(2)下請事業者と契約をする場合の留意点
1.書面の交付義務(第3条)
親事業者は,発注に際して下記の具体的記載事項をすべて記載している書面(3条書面)を直ちに下請事業者に交付する義務があります。
【3条書面に記載すべき具体的事項】
(1) 親事業者及び下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可)
(2) 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
(3) 下請事業者の給付の内容(委託の内容が分かるよう,明確に記載する。)
(4) 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,役務が提供される期日又は期間)
(5) 下請事業者の給付を受領する場所
(6) 下請事業者の給付の内容について検査をする場合は,検査を完了する期日
(7) 下請代金の額(具体的な金額を記載する必要があるが,算定方法による記載も可)
(8) 下請代金の支払期日
(9) 手形を交付する場合は,手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
(10) 一括決済方式で支払う場合は,金融機関名,貸付け又は支払可能額,親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
(11) 電子記録債権で支払う場合は,電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
(12) 原材料等を有償支給する場合は,品名,数量,対価,引渡しの期日,決済期日,決済方法
2.支払期日を定める義務(第2条の2)
親事業者は,下請事業者との合意の下に,親事業者が下請事業者の給付の内容について検査するかどうかを問わず,下請代金の支払期日を物品等を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者が役務の提供をした日)から起算して60日以内でできる限り短い期間内で定める義務があります。
3.書類の作成・保存義務(第5条)
親事業者は,下請事業者に対し製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした場合は給付の内容,下請代金の額等について記載した書類(5条書類)を作成し2年間保存する義務があります。
【5条書類に記載すべき具体的事項】
(1) 下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可)
(2) 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
(3) 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は役務の提供の内容)
(4) 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,下請事業者が役務の提供をする期日・期間)
(5) 下請事業者から受領した給付の内容及び給付を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者から役務が提供された日・期間)
(6) 下請事業者の給付の内容について検査をした場合は,検査を完了した日,検査の結果及び検査に合格しなかった給付の取扱い
(7) 下請事業者の給付の内容について,変更又はやり直しをさせた場合は,内容及び理由
(8) 下請代金の額(算定方法による記載も可)
(9) 下請代金の支払期日
(10) 下請代金の額に変更があった場合は,増減額及び理由
(11) 支払った下請代金の額,支払った日及び支払手段
(12) 下請代金の支払につき手形を交付した場合は,手形の金額,手形を交付した日及び手形の満期
(13) 一括決済方式で支払うこととした場合は,金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとした額及び期間の始期並びに親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払った日
(14) 電子記録債権で支払うこととした場合は,電子記録債権の額,下請事業者が下請代金の支払を受けることができることとした期間の始期及び電子記録債権の満期日
(15) 原材料等を有償支給した場合は,品名,数量,対価,引渡しの日,決済をした日及び決済方法
(16) 下請代金の一部を支払い又は原材料等の対価を控除した場合は,その後の下請代金の残額
(17) 遅延利息を支払った場合は,遅延利息の額及び遅延利息を支払った日
4.遅延利息の支払義務(第4条の2)
親事業者は,下請代金をその支払期日までに支払わなかったときは,下請事業者に対し,物品等を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者が役務の提供をした日)から起算して60日を経過した日から実際に支払をする日までの期間について,その日数に応じ当該未払金額に年率14.6%を乗じた額の遅延利息を支払う義務があります。
下請法の適用がある場合に注意すべきこと
下請法上の下請事業者と業務委託契約を締結するにあたっては、代金の支払時期に気をつけなければいけません。また、合意内容を記載した書面の交付義務、取引内容を記載した書面の保管義務、遅延利息の支払義務などがあります。

下請法は、下請契約の締結にあたって契約書の作成を必須とはしていません。しかし、親事業者に対して、3条書面を、下請事業者に直ちに交付すべき義務を課しています。
交付書面の記載事項は、契約書中に取り込むことも可能です。ただし、この場合には、記載事項をすべて記載しなければなりません。もし、すべて記載していない場合は、別途書面の交付が必要になります。
4.個人情報保護法と業務委託
業務委託契約においては、委託者と受託者の間で個人情報のやりとりがなされることが多くあります。

業務委託契約を締結する際には、個人情報保護法を踏まえることが必要になります。
個人情報保護法上、個人情報とは、「生存する個人に関する情報であって特定の個人を識別できるももの」(個人情報保護法2条1項)とされています。
個人情報保護法の適用対象となる個人情報取扱事業者とは、「個人情報データベース等を事業のように供している者」(個人情報保護法2条3項)とされています。

個人情報の保護にあたっては、個人情報保護法の他には、各省庁より分野ごとのガイドラインが作成されていますので、これに従う必要があります。
ガイドラインには裁判所の判断を拘束するものではありませんが、行政指導等はガイドラインに従って行われるので事実上の拘束力があるといえます。

個人情報取扱事業者が、個人データの取扱いの全部または一部を委託する場合には、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない、とされています(個人情報保護法22条)。このことから、事業者のみならず、業務委託契約によって委託者から業務を受託する受託者も個人情報保護法やガイドラインに従う必要があります。

業務委託契約においても、個人情報の安全管理に関して必要かつ適切な措置が講じられなければなりません(個人情報保護法20条)。 そのため、委託者は、安全管理に必要な措置が講じられているかについて、受託者を監督する必要があります(個人情報保護法22条)。業務委託においては、受託者から第三者へ再委託をすることもありますが、この場合も再委託先を同様に監督する必要があります。
業務委託基本契約書
業務委託基本契約書とは
基本業務委託契約書とは、発注者と受注者との間で継続的に生じるすべての業務委託契約に適用される基本的なルールを定めた契約書をいいます。そのうえで、個別に個別契約書を締結していきます。

個別契約書を交わす代わりに、発注書や請書で個別契約を成立させることもあります。
一般の業務委託基本契約書と業務委託基本契約書の違い
一般の業務委託契約書と業務委託基本契約書の条項は、ほとんど同じになります。

個別契約に共通する事項を、業務委託基本契約書に多く定めておけば、個別契約書で定めることは少なくなります。そうすると、請書や注文請書で済むようになります。
逆に、業務委託基本契約書で、個別契約に委ねる項目を多くすれば、個別契約で定めなければならないことも多くなります。
無用なトラブルを事前に防止するという点では、業務内容は明確にしたほうがいいですし、業務委託基本契約書に多くの事項を定めたほうがいいといえます。

しかし、継続的な取引関係になることが当初から分かっている場合でも、具体的にどのような業務の流れになるか分からない場合もあります。そのような場合は、業務委託基本契約書で、最低限の共通事項だけ規定し、多くの事項を個別契約に委ねるのも仕方ないといえます。
業務委託基本契約書と個別契約で規定が異なる場合
業務委託基本契約書の規定と個別契約で異なる規定がされた場合、どちらが優先するかですが、一般的な解釈では、個別契約書の規定が優先すると考えられています。
業務委託基本契約書では、このような場合、個別契約書の規定が優先されると定められるのが普通です。
業務委託基本契約書に対する当事務所のスタンス
当事務所では、ヒアリングの上、業務委託基本契約書なのか業務委託契約書なのかを、提案させて頂きます。
まず、業務委託基本契約書を交わす場合であっても、その時点でベストと考えられる共通事項を検討し、業務委託基本契約書を提案いたします。
秘密保持契約書
秘密保持契約書とは
ある企業が他の企業に業務委託提携をするような場合、委託先の企業に対して自社情報を提供することがあります。
自社の業務をアウトソージングして外注に出すような場合にも、委託先に委託業務に関する自社情報を提供することがあります。
事業展開をする上では、取引先に自社情報を提供しなければならない反面、その秘密を守る必要があります。
このような場合に締結されるのが、秘密保持契約です。
秘密保持契約とは、ある秘密情報をを相手方に開示する場合に、その秘密情報を他に漏らさないようにするための契約です。

以下、秘密保持契約書の条項について説明します。
個別契約書を交わす代わりに、発注書や請書で個別契約を成立させることもあります。
(1)秘密情報の定義
まず、秘密情報についての定義をします。秘密情報として守ろうとして情報について範囲を定めます。
その上で、例外規定を設けます。これは秘密保持義務を負う者に過度の負担を強いることがないようにするためです。
公知の事実や、情報開示以前から知っていた事実、第三者から正当に取得した情報等は、情報開示と無関係に知ることになった情報ですから除かれます。
(2)秘密保持義務
秘密保持義務の具体的内容を定めます。原則として、第三者に開示したり漏洩することを禁じます。
ただ、これだと秘密保持義務の範囲が広くなりすぎるので、例外事項を定めます。例えば、従業員や役員への開示を例外として定めます。このような場合でも、漏洩を防ぐために、同等の秘密保持義務を負わせる旨の誓約書等の提出等を定めます。
(3)使用目的
秘密情報の提供は、あくまで業務委託のためになされるものです。そこで、秘密情報は当該業務目的を遂行する上で使用できることとし、目的外使用を禁じます。
(4)複製の禁止
秘密情報を受け取った企業の側で、秘密情報をコピー等して複製すれば、情報漏洩の危険が増します。そこで、一般的には複製を禁止する条項を入れます。
(5)成果の帰属
秘密情報を使用することにより成果物がある場合、その成果物に関する権利を定めておく必要あります。ある成果物について、いずれが権利を有するかは成果物の性質によっても異なります。
協議の上で定めるとするか、契約当初からいずれに成果が帰属するか定めます。
(6)秘密情報の返還
契約が終了するような場合、情報漏洩を防止するためには、秘密情報を受け取った企業の側に秘密情報が残らないようにする必要があります。
そこで、秘密情報の返還義務を定めます。複製を一定の要件で認めた場合には複製についても返還義務を定めます。
(7)その他
検査権と差止請求、損害賠償、有効期間、裁判管轄
ライセンス契約書
ライセンス契約とは
ライセンス契約とは、ある企業が知的財産権やノウハウを有しているとき、他の企業にこれらの使用について許諾する契約をいいます。
例えば、大手コンビニチェーンだと商標登録がされています。加盟店がこの商標を使用できるのは、商標につきライセンス契約がされているからです。
また、ある企業がソフトウェアを開発した場合、別の企業がそのソフトウェアを使用を認める場合には、ソフトウェアライセンス契約が結ばれます。
「ライセンサー」と「ライセンシー」
ライセンス契約は、「ライセンサー」と「ライセンシー」の間で締結されます。
「ライセンサー」:使用許諾を与える側の会社
「ライセンシー」:使用許諾を受ける側の会社
以下、ライセンス契約の中でもソフトウェアライセンス契約を中心に説明します。
ソフトウェアライセンス契約でのポイント
1.現状渡し
ソフトウェアのライセンスは、未完成のソフトウェアを現状渡しするため、無保証となるのが原則です。
2.ソフトウェアの範囲
ソフトウェアについては、どのような内容のソフトであるか、バージョンの範囲はといったことの他、マニュアル等の文書についてどの範囲まで含めるかを特定する必要があります。
3.サブライセンス
サブライセンスとは、再使用許諾のことです。ソフトウェアライセンス契約では一般的には、サブライセンスは認めないケースが多いです。
サブライセンスを認める場合は、サブライセンスを認めない場合の契約書の内容とかなり異なるようになります。
4.「独占」か「非独占」か
「独占」とは、ライセンシーが独占的に、ソフトウェアを使用する場合をいいます。もっとも、ソフトウェアライセンス契約においては、複数のライセンシーが想定されている場合が多いので、「非独占」のライセンスとなることが多いです。
5.対価
独占的な利用を認めれば対価は高額になります。非独占であれば、比較的低額になります。非独占の場合、対価表をもとに月額いくらと決められることが多いです。対価の支払い方法としては以下のようなものがあります。

  • (1)一括払い
    契約当初に一括払いで全額支払う方式
  • (2)月額払い
    月ごとに一定の金額を支払う方式
  • (3)レベニューシェア
    ライセンスを利用して得られた利益に応じて支払う方式
  • (4)ランニングロイヤリティ
    サブライセンスを認めた場合、ライセンシーが複製し再使用許諾した本数1本につきいくら、という計算で支払う方式
6.改良
ライセンシーがソフトウェアを使用していて新たな発明をした場合に、その発明が誰に帰属するかの合意です。この規定がなければ、発明は発明者に帰属します。
ライセンサーへの譲渡や、ライセンス付与の対価の条件について、別途交渉・合意意するとしている規定がよくみられます。
7.損害賠償
プログラムは、その特質として、バグと呼ばれるプログラムミスが生じます。そのため、その使用によってシステム損害といった大きな間接損害を発生させる大きなリスクがあります。
そこで、修理費など瑕疵によって直接発生した損害のみ責任をライセンサーは負うと責任限定したり、間接損害についても上限の定めるということが行われます。