個人事業主(一人親方)のための建設業許可ガイド
目次
第1章: 建設業の個人事業主(一人親方)とは?
個人事業主とは?
一人親方とは?
第2章: 個人事業主(一人親方)が建設業許可を取得するために必要な書類
建設業の経営業務管理責任者であることを証明する条件と必要書類
専任の技術者であることを証明する条件と必要書類
第3章: 個人事業主(一人親方)が建設業許可を取得するメリットとデメリット
メリット
デメリット
まとめ
よくある質問
第1章: 建設業の個人事業主(一人親方)とは?
建設業界では、法人ではなく、個人事業主(一人親方)として建設業を営んでいる人もいるでしょう。
この章では、建設業の個人事業主(一人親方)の定義について詳しく解説します。
個人事業主とは?
個人事業主とは、法人は設立せずに個人で事業を営むため、税務署に開業届を受理された人を指します。
フリーランスも個人事業主の一種とされます。
一人親方とは?
一人親方とは、労働者を雇用せずに建設業を営む人を指します。
また、場合によっては、家族や身内にも協力してもらい、建設業を営んでいるケースもありますが、基本的には労働者を雇用しません。
その部分が、労働者を雇用する個人事業主とは、異なる点です。
第2章: 個人事業主(一人親方)が建設業許可を取得するために必要な書類
個人事業主も、法人と同様の条件を満たすことにより、建設業許可を取得することが可能です。
この章では、個人事業主が建設業許可を取得するために必要な書類について詳しく解説します。
建設業の経営業務管理責任者であることを証明する条件と必要書類
個人事業主も、法人と同様に建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者がいることを証明する必要があります。
経営業務の管理責任者として認められるには、下記の要件を満たしている必要があります。
- 建設業に関し、管理責任者として5年以上の経験を有すること
- 建設業に関し、管理責任者に準ずる立場で5年以上経営業務の管理を行った経験を有すること
- 建設業に関し、管理責任者に準ずる立場で6年以上管理責任者を補佐した経験を有すること
- 建設業に関し、2年以上役員等の経験があり、かつ、5年以上、役員等の立場で常勤役員等を補佐する業務(財務管理や労務管理、運営業務)に携わった経験を有すること
- 5年以上役員等の経験があり、かつ、建設業に関し、2年以上役員等の立場であり、常勤役員等を補佐する業務(財務管理や労務管理、運営業務)に携わった経験を有すること
詳しくは、国土交通省「建設業の許可の要件」をご確認ください。(リンク<https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html>をつけてください。)
上記を証明する書類としては、以下のようなものが該当します。
- 確定申告書の写し
- 工事の契約書
- 工事の注文書
- 工事の請求書
- 入金が証明できる通帳
専任の技術者であることを証明する条件と必要書類
専任の技術者として認められるには、建設業許可を取得予定の業種に関して、一定の要件を満たしている必要があります。
具体的な要件は下記のとおりです。(要件は、取得したい許可が、一般建設業許可と特定建設業許可のどちらかにより異なります。)
一般建設業許可 |
指定学科終了後、高卒は5年以上、大卒は3年以上の実務経験を有していること |
指定学科終了し、専門学校卒業後5年以上の実務経験、あるいは専門学校卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ専門士もしくは高度専門士であること |
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許可を申請予定の建設業にかかわる建設工事について、10年以上の実務経験を有していること |
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国家資格を有していること |
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複数の業種で実務経験を有していること |
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特定建設業許可 |
国家資格を有していること |
一般建設業許可の専任技術者の要件を満たし、かつ許可を申請予定の建設工事を発注者から直接請け負い、その請負代金が4,500万円以上であるものについて、2年以上の指導監督的な実務経験を有していること |
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指定建設業7業種に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格している、あるいは国土交通大臣が定める考査に合格していること |
詳しくは、国土交通省「建設業の許可の要件」をご確認ください。(リンク<https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html>をつけてください。)
上記を証明する書類としては、以下のようなものが該当します。
- 学校の卒業証明書
- 実務経験期間分の工事請負契約書
- 注文書
- 請求書
- 国家資格の合格証明書
第3章: 個人事業主(一人親方)が建設業許可を取得するメリットとデメリット
建設業許可を取得することは、個人事業主や一人親方にとって利点と課題が存在します。
この章では、建設業許可を取得することのメリットとデメリットについて詳しく説明します。
メリット
個人事業主が建設業許可を取得するメリットとして、主に下記4点があげられます。
- 同業他社との差別化ができ、信用も増す
- 金額の大きい建設工事を請け負うことができる
- 許可申請時の書類が法人と比較すると少ない
それぞれについて詳しく解説します。
同業他社との差別化ができ、信用も増す
建設業許可を取得している個人事業主は比較的少ないため、
取得していることで同業他社との差別化となるのに加え、発注元からの信用度を高めることにもつながる。
金額の大きい建設工事を請け負うことができる
建設業許可を取得することにより、許可の取得が必要ない軽微な建設工事に該当しない
大きい建設工事を請け負うことができる。
許可申請時の書類が法人と比較すると少ない
法人と比べ、個人事業主が建設業許可を申請する際、
申請に必要な書類が少ないため、比較的短時間で取得可能となる。
デメリット
個人事業主が建設業許可を取得するデメリットとして、主に下記3点があげられます。
- 建設業許可の取得と更新に費用が掛かる
- 必ずしも規模の大きな建設工事を受注できるとはかぎらない
- 決算報告書の提出が必要
それぞれについて詳しく解説します。
建設業許可の取得と更新に費用が掛かる
建設業許可を申請する際に、申請費用が発生します。
※申請する建設業許可に応じて、料金は異なります。(例えば、知事許可の場合9万円、大臣許可の場合15万円等)
さらに、5年に一度、建設業許可を更新する必要があり、その際も5万円の手数料が発生します。
必ずしも規模の大きな建設工事を受注できるとはかぎらない
発注元によっては、与信管理等の面により個人事業主に依頼しない場合があるため、
建設業許可を取得したからとはいえ、必ずしも規模の大きい建設工事を受注できるとはかぎりません。
決算報告書の提出が必要
建設業許可を取得した後、年度終了から4か月以内に決算報告書を提出する必要があります。
建設業許可の更新や新たな業種の許可を追加申請するために決算報告書の提出は必須となります。
まとめ
個人事業主でも、法人と同様に、必要な要件を満たすことで建設業許可を取得することができます。
個人事業主が建設業許可を取得する際のメリットとデメリットを把握し、手続きを進めていただければと思います。
その際に、今回のコラムが参考になれば幸いです。
また、建設業許可を取得するうえで、不明点があれば、行政書士事務所に相談するのも1つの手段です。
よくある質問
個人事業主(一人親方)が建設業許可を取得するために必要な書類とは?
個人事業主が建設業許可を取得するためには、法人と同様に、
許可申請書に加え、経営業務の管理責任者であることと専任の技術者であることを証明する書類を提出する必要があります。
個人事業主(一人親方)が建設業許可を取得するメリットとデメリットとは?
個人事業主が建設業許可を取得するメリットとデメリットは下記のとおりです。
【メリット】
- 同業他社との差別化ができ、信用も増す
- 金額の大きい建設工事を請け負うことができる
- 許可申請時の書類が法人と比較すると少ない
- 建設業のコストを抑えることができる
【デメリット】
- 建設業許可の取得と更新に費用が掛かる
- 必ずしも規模の大きな建設工事を受注できるとはかぎらない
- 決算報告書の提出が必要
興味ある方は、行政書士法人アッパーリンクへお気軽にお申し付けください。
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