【第1回】基礎編:特殊車両通行許可とは?2025年最新制度解説
はじめに
運送業、建設業、産廃業に従事する皆さん、特殊車両通行許可について正しく理解していますか?
「うちの車両は大丈夫だろう」と思っていても、実は許可が必要なケースは意外と多いのです。
2025年現在、特殊車両通行制度は大きく変わりました。
従来の「通行許可制度」に加えて、2022年4月から「通行確認制度」という新しい仕組みが導入されています。
この記事では、制度の基本から最新動向まで、実務担当者が知っておくべき情報を分かりやすく解説します。
特殊車両通行許可制度とは?
制度の目的
道路は一定の重量・寸法の車両が安全に通行できるよう設計されています。
この基準を「一般的制限値」と呼びます。しかし、社会経済活動上、この制限値を超える車両の通行が必要な場合があります。
そこで、道路の構造保全と交通安全を確保しながら、特殊な車両の通行を可能にするのが特殊車両通行制度です。
一般的制限値(覚えておくべき数値)
項目 | 制限値 |
---|---|
幅 | 2.5m |
長さ | 12m |
高さ | 3.8m |
重量 | 20t(車両総重量) |
軸重 | 10t |
隣接軸重 | 18t(軸距1.8m未満)、20t(軸距1.8m以上) |
重要ポイント: これらの数値を1つでも超えると、特殊車両として通行許可が必要になります。
2つの制度:通行許可と通行確認
従来の「特殊車両通行許可制度」
特徴:
- 申請から許可まで標準3週間
- 個別審査による詳細な検討
- あらゆる特殊車両に対応
- 有効期間:通常2年(優良事業者は最大4年)
適用場面:
- 特殊性の高い車両
- 確認制度の対象外車両
- 確認制度の対象外経路
新制度「特殊車両通行確認制度」(2022年4月開始)
特徴:
- 即座に通行可能(オンラインで即時確認)
- 事前に登録された車両が対象
- 複数経路を一度に確認可能
- システム化による効率化
メリット「早い、簡単、便利」:
- 早い:即時確認、待ち時間なし
- 簡単:出発地・目的地入力のみ
- 便利:複数経路表示、経路選択が容易
業種別適用場面
運送業での典型例
- 大型トレーラーでの重量物輸送
- 建設機械の回送
- 複数場所での荷卸し作業
- 長尺物(鋼材、プレハブなど)の輸送
建設業での典型例
- 自走式クレーンの現場間移動
- 大型ダンプでの土砂運搬
- ポンプ車、生コン車の大型車両
- 建設機械の搬入・搬出
産廃業での典型例
- 大型産廃収集車での回収作業
- 処理機械の輸送
- コンテナ車での大型廃棄物搬送
- 特殊形状廃棄物の運搬
2025年の最新動向
制度改正のポイント
- 道路情報便覧データの定期更新
- 2025年1月版が最新(2024年12月23日切替)
- 3ヶ月ごとの更新で道路状況を反映
- 優良事業者制度の拡充
- 有効期間の延長措置継続
- 違反歴のない事業者への優遇措置
- デジタル化の推進
- オフライン用プログラムの配布
- システムの利便性向上
注意すべき変更点
重さ指定道路・高さ指定道路の見直し
- 通行可能路線の拡大
ダブル連結トラックの対象路線拡充
- 2024年9月から新路線での申請開始
- 物流効率化への対応
まとめ:押さえておくべき3つのポイント
制限値チェックは必須 一般的制限値を1つでも超えたら許可が必要
新旧2つの制度を使い分け 通行許可(従来)と通行確認(新制度)の特徴を理解
最新情報への対応 制度は継続的に改正されるため、定期的な情報収集が重要
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