• 特殊車両通行許可
2025.08.08
【第3回】制度選択編:通行許可vs通行確認、どちらを選ぶ?

【第3回】制度選択編:通行許可vs通行確認、どちらを選ぶ?

2つの制度の基本比較

2022年4月から、特殊車両通行制度は大きく2つに分かれました。どちらを選ぶかで、業務効率と運用コストが大きく変わります。

制度比較一覧表

項目

通行許可(従来)

通行確認(新制度)

処理時間

標準3週間

即時(オンライン)

申請方法

個別審査

システム自動確認

対象車両

全ての特殊車両

登録済み車両のみ

有効期間

最大4年

制限なし

変更手続き

再申請必要

即座に変更可能

複数経路

個別申請

一度に複数確認

通行確認制度の詳細解

通行確認制度の3つの特徴

  1. 即時性「待ち時間ゼロ」
  • 出発地・目的地を入力するだけ
  • リアルタイムで通行可能経路を表示
  • 急な配送依頼にも即座に対応可能
  1. 柔軟性「経路変更自由」
  • 同じ出発地・目的地なら経路変更自由
  • 工事や交通規制による迂回も対応
  • 複数の候補経路から最適ルート選択
  1. 効率性「一度に複数確認」
  • 1回の操作で複数の経路確認
  • 往復ルートの同時確認
  • 複数拠点間の配送計画も効率化

通行確認の対象車両

登録済み車両(ETC2.0装着車両):

  • 車両情報が事前にシステム登録済み
  • GPS等による位置情報取得可能
  • 違反歴がない優良事業者の車両

システム要件:

  • ETC2.0車載器の装着
  • 特車ポータルサイトでの車両登録
  • 定期的なデータ更新

業種別おすすめ制度選択

🚛 運送業

通行確認がおすすめの場合:

  • 定期便での建設機械輸送
  • 複数の配送先を回る業務
  • 急な輸送依頼が多い業務
  • 同一車両での定型的な業務

具体例:

建設機械レンタル業での活用

– 朝の出発前に当日の配送先をすべて確認

– 各現場での最適ルートを事前選択

– 交通渋滞や工事規制に応じてルート変更

通行許可が必要な場合:

  • 特殊性の高い車両(超大型等)
  • 不定期な特殊輸送
  • ETC2.0未装着車両

🏗️ 建設業

自走式クレーンでの活用:

  • 通行確認推奨度:★★★★★
  • 現場間移動が頻繁
  • 工事進捗に応じた柔軟な移動が必要
  • 緊急時の現場対応が必要

運用例:

月間30現場を回る25tクレーン

従来:各現場への許可申請で月90件の申請

新制度:車両登録1回で全現場即時確認可能

→ 事務処理時間を90%削減

ダンプ運送での注意点:

  • 積載物によって重量が変動
  • 土砂の含水率で重量変化
  • 定期的な重量確認が必要

♻️ 産廃業

通行確認の活用場面:

  • 定期回収ルートでの大型車両使用
  • 処理施設間での効率的な輸送
  • 緊急回収への対応

注意すべきポイント:

  • 廃棄物の種類によって重量変動大
  • 特殊形状廃棄物は個別審査が必要
  • 処理施設の立地による経路制限

制度選択の判断フローチャート

特殊車両の運行予定あり

ETC2.0装着済み?

NO → 通行許可制度を選択

YES ↓

定型的・反復的な運行?

NO → 通行許可制度を選択

YES ↓

車両が登録対象?

NO → 通行許可制度を選択

YES ↓

通行確認制度を選択

制度移行のメリット・デメリット

通行確認制度のメリット

業務効率化:

  • 申請待ち時間の解消
  • 事務処理コストの削減
  • 配車計画の柔軟性向上

コスト削減効果:

従来制度での年間コスト例(25tクレーン)

– 申請手数料:200件×5,000円 = 100万円

– 事務処理人件費:月20時間×12月 = 60万円

– 待ち時間による機会損失:推定100万円

合計:約260万円

 

通行確認制度導入後

– 初期登録費用:10万円

– 年間維持費用:20万円

合計:約30万円

→ 年間230万円のコスト削減

通行確認制度のデメリット

システム依存リスク:

  • インターネット接続必須
  • システムメンテナンス時の利用不可
  • 技術的トラブルへの対応必要

適用制限:

  • 特殊性の高い車両は対象外
  • 新規車両は個別登録が必要
  • 違反歴がある場合は利用制限

優良事業者制度の活用

優良事業者のメリット

有効期間の延長:

  • 通常2年 → 最大4年
  • 更新手続きの頻度削減
  • 長期的な事業計画の安定化

認定要件:

  • 過去2年間に違反歴がない
  • 適正な運行管理体制
  • 定期的な自主点検の実施

申請手続き:

  • 優良事業者認定申請書の提出
  • 運行管理体制の書面確認
  • 違反歴の照会・確認

実務運用での使い分け戦略

ハイブリッド運用のすすめ

基本方針:

  • 定型業務 → 通行確認制度
  • イレギュラー業務 → 通行許可制度
  • 新規車両 → 通行許可から開始

具体的な使い分け例:

業務内容

推奨制度

理由

定期輸送

通行確認

効率性重視

緊急輸送

通行確認

即時性重視

超大型輸送

通行許可

個別審査必要

新規ルート

通行許可

安全性確認

まとめ:制度選択の3つのポイント

  1. 業務の特性を分析 定型・反復業務なら通行確認制度が有利
  2. コスト効果を計算 年間申請件数とコスト削減効果を比較
  3. 段階的な移行を検討 リスクを最小化しながら新制度を導入

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