【第3回】制度選択編:通行許可vs通行確認、どちらを選ぶ?
2つの制度の基本比較
2022年4月から、特殊車両通行制度は大きく2つに分かれました。どちらを選ぶかで、業務効率と運用コストが大きく変わります。
制度比較一覧表
項目 |
通行許可(従来) |
通行確認(新制度) |
処理時間 |
標準3週間 |
即時(オンライン) |
申請方法 |
個別審査 |
システム自動確認 |
対象車両 |
全ての特殊車両 |
登録済み車両のみ |
有効期間 |
最大4年 |
制限なし |
変更手続き |
再申請必要 |
即座に変更可能 |
複数経路 |
個別申請 |
一度に複数確認 |
通行確認制度の詳細解說
通行確認制度の3つの特徴
- 即時性「待ち時間ゼロ」
- 出発地・目的地を入力するだけ
- リアルタイムで通行可能経路を表示
- 急な配送依頼にも即座に対応可能
- 柔軟性「経路変更自由」
- 同じ出発地・目的地なら経路変更自由
- 工事や交通規制による迂回も対応
- 複数の候補経路から最適ルート選択
- 効率性「一度に複数確認」
- 1回の操作で複数の経路確認
- 往復ルートの同時確認
- 複数拠点間の配送計画も効率化
通行確認の対象車両
登録済み車両(ETC2.0装着車両):
- 車両情報が事前にシステム登録済み
- GPS等による位置情報取得可能
- 違反歴がない優良事業者の車両
システム要件:
- ETC2.0車載器の装着
- 特車ポータルサイトでの車両登録
- 定期的なデータ更新
業種別おすすめ制度選択
🚛 運送業
通行確認がおすすめの場合:
- 定期便での建設機械輸送
- 複数の配送先を回る業務
- 急な輸送依頼が多い業務
- 同一車両での定型的な業務
具体例:
建設機械レンタル業での活用
– 朝の出発前に当日の配送先をすべて確認
– 各現場での最適ルートを事前選択
– 交通渋滞や工事規制に応じてルート変更
通行許可が必要な場合:
- 特殊性の高い車両(超大型等)
- 不定期な特殊輸送
- ETC2.0未装着車両
🏗️ 建設業
自走式クレーンでの活用:
- 通行確認推奨度:★★★★★
- 現場間移動が頻繁
- 工事進捗に応じた柔軟な移動が必要
- 緊急時の現場対応が必要
運用例:
月間30現場を回る25tクレーン
従来:各現場への許可申請で月90件の申請
新制度:車両登録1回で全現場即時確認可能
→ 事務処理時間を90%削減
ダンプ運送での注意点:
- 積載物によって重量が変動
- 土砂の含水率で重量変化
- 定期的な重量確認が必要
♻️ 産廃業
通行確認の活用場面:
- 定期回収ルートでの大型車両使用
- 処理施設間での効率的な輸送
- 緊急回収への対応
注意すべきポイント:
- 廃棄物の種類によって重量変動大
- 特殊形状廃棄物は個別審査が必要
- 処理施設の立地による経路制限
制度選択の判断フローチャート
特殊車両の運行予定あり
↓
ETC2.0装着済み?
NO → 通行許可制度を選択
YES ↓
定型的・反復的な運行?
NO → 通行許可制度を選択
YES ↓
車両が登録対象?
NO → 通行許可制度を選択
YES ↓
通行確認制度を選択
制度移行のメリット・デメリット
通行確認制度のメリット
業務効率化:
- 申請待ち時間の解消
- 事務処理コストの削減
- 配車計画の柔軟性向上
コスト削減効果:
従来制度での年間コスト例(25tクレーン)
– 申請手数料:200件×5,000円 = 100万円
– 事務処理人件費:月20時間×12月 = 60万円
– 待ち時間による機会損失:推定100万円
合計:約260万円
通行確認制度導入後
– 初期登録費用:10万円
– 年間維持費用:20万円
合計:約30万円
→ 年間230万円のコスト削減
通行確認制度のデメリット
システム依存リスク:
- インターネット接続必須
- システムメンテナンス時の利用不可
- 技術的トラブルへの対応必要
適用制限:
- 特殊性の高い車両は対象外
- 新規車両は個別登録が必要
- 違反歴がある場合は利用制限
優良事業者制度の活用
優良事業者のメリット
有効期間の延長:
- 通常2年 → 最大4年
- 更新手続きの頻度削減
- 長期的な事業計画の安定化
認定要件:
- 過去2年間に違反歴がない
- 適正な運行管理体制
- 定期的な自主点検の実施
申請手続き:
- 優良事業者認定申請書の提出
- 運行管理体制の書面確認
- 違反歴の照会・確認
実務運用での使い分け戦略
ハイブリッド運用のすすめ
基本方針:
- 定型業務 → 通行確認制度
- イレギュラー業務 → 通行許可制度
- 新規車両 → 通行許可から開始
具体的な使い分け例:
業務内容 |
推奨制度 |
理由 |
定期輸送 |
通行確認 |
効率性重視 |
緊急輸送 |
通行確認 |
即時性重視 |
超大型輸送 |
通行許可 |
個別審査必要 |
新規ルート |
通行許可 |
安全性確認 |
まとめ:制度選択の3つのポイント
- 業務の特性を分析 定型・反復業務なら通行確認制度が有利
- コスト効果を計算 年間申請件数とコスト削減効果を比較
- 段階的な移行を検討 リスクを最小化しながら新制度を導入
お問い合わせはお気軽に 携帯からも無料の 0120-30-4429